「同一労働同一賃金」は善か?(続論)
みなさん、こんにちは。
以前、「「同一労働同一賃金」は善か?」という記事を書きましたが、
今日の日経の経済教室は、
賃金格差を考える(上)「同一賃金」比較対象難しくー職務給に限定が妥当 安藤至大 日本大学准教授
という記事が載っています。また、今日のプレジデントオンラインの新着記事に、
「「同一労働同一賃金」で企業が恐れる「給与差」立証責任」という記事が
直近でアクセスランキング1位になっています。いずれも、関心の高さが伺われます。
日経経済教室は、ポイントとして、
○同一労働でも様々な理由で賃金には違い
○異なる企業間で賃金を合わせるのは困難
○誰がみても不合理なものから検討進めよ
の3点を挙げています。詳細な内容は、記事をお読みいただくとして、
範囲が明確な仕事に対して賃金が設定され、そこに人が張り付くような職務給の場合は、
同一労働同一賃金が適正だとしていますが、それに比べ、職能給、すなわち、
労働者に対して賃金が設定され、その人に仕事を張り付ける賃金設定は、
仕事内容や勤務地域などを契約で限定せずに雇われる日本的雇用と親和性が高い。
と指摘しています。その上で、
職能給の労働者と職務給の労働者を比較するのは難しいため、
同一賃金を議論するのは職務給で働く労働者間に限定する必要がある
と論じています。それらを鑑みると、上記の3点が言えるとしています。
プレジデントオンラインの溝上憲文氏も、ほぼ同様の指摘をし、
非正規社員に対する合理的理由のない不利益取扱いの禁止を条文に明記すれば、
賃金差を設ける合理的理由を会社側が立証する責任を負うということだ。(下線引用者)
と解説しています。ところが、その”合理的理由”とは、何をもって”合理的”とするのかと続けます。
議論の経緯は記事をお読みいただくとして、
経済界が要望するような勤続年数や年功序列、総合職などの
キャリアコースの違いによる賃金差を合理的理由に含める可能性もある。
と分析しています。政府の制定するガイドラインに注目するべきだ、と結んでいますが、
結局、当方が以前書いたように、新卒の時点で、キャリア採用/ノンキャリア採用をしている限りでは、
見た目は同一労働でも、その位置付けが異なるため、同一賃金にはなりえない(合理性がある)のです。
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