みなさん、こんにちは。精神保健福祉士の山口修司です。
今日は、”質問促進パンフレット”〜精神科外来での共同意思決定支援ツール〜について取り上げます。
インフォームド・コンセントという言葉はみなさんご存知だと思いますが、医師とのコミュニケーションは、一方的なものになりがちです。
それは、医師と患者の情報格差がどうしても存在するからですが、「患者は医者に言われた通りにすれば良いのだ」という時代ではなくなりました。
今までの診察では、様々なことを決めていくのが医療者主導で行われることが一般的でした。しかし、近年、患者さんと医療スタッフが一緒に必要な情報を共有し、患者さんの想いや希望に沿って共に治療方針を決める、「共同意思決定」が重要視されています。
(パンフレットのホームページより)
これの典型例はがん治療ですが、そのほかの病気についても同じことは言えます。もちろん、精神科も含まれます。
精神疾病は”心の病”などと言われますが、自分の内面に大きく関わるだけに、自分の疑問や希望を適切に医師に伝えなければ、もやもやしながらただ薬を飲むだけになってしまいます(精神科の治療は大きく分けて、薬物療法と精神療法(行動療法など)に分けられます)。
ところが、これがまた難しい〜(>_<)。患者はもちろん医師ではありませんから、自分の患わっている病気について、どう医師とやりとりをすれば良いかなんて、わかるはずがないのです。普通は。
そこで「こういう風に自分の考えを整理して、医師と話せばいいよ」というのが、この”質問促進パンフレット”です。
例えば、
- 私の病気は治りますか?
- 私が飲んでいる薬はどんな効果があるのですか? どんな副作用がありますか?
- それでも良くならない時は次に何をすれば良いですか?
- 経済的に苦しいのですが何か方法はありますか?
などなどです。ここでは、50個の質問項目が挙げられています。版権はフリーなので、ぜひ臨床で広く使われてほしいと思います。
【参考書籍】
「決められない患者たち」ジェローム・グループマン、パメラ・ハーツバンド、2013.4
「患者中心の意思決定支援―納得して決めるためのケア」
コメント